こんにちは、資料室係です。
皆さんイタリアといって思い出すのはどんな光景でしょう。太陽がさんさんと輝く明るい風景でしょうか?うるさくてやさしいイタリア人の笑顔でしょうか?
そんなイタリアとは全く逆の、くらーい・つらーいイタリアを歌い上げたのが、戦後イタリアを代表するフォークシンガー、ファブリツィオ・デ・アンドレです。今週はそんなデ・アンドレの代表曲から一曲・・・・・
ファブリツィオ・デ・アンドレ『ピエロの戦争』(1964)です!
『ピエロの戦争』は『マリネッラの歌』と並び初期デ・アンドレの代表作といわれている作品です。
テーマはずばり戦争。イタリア版『風に吹かれて』とでもいいましょうか。しかしボブ・ディランのメッセージが直接発せられる『風に吹かれて』とは違い、『ピエロの戦争』は単純なメロディーの繰り返しに詩的な言葉がのせられ、だんだんと物語が展開していくストーリー仕立ての歌です。
デアンドレは多くのイタリア人歌手のように誇張した歌い方はしません。ただ淡々と歌います。しかし淡々としているからこそ、そこから飾り立てない情熱が伝わってきます。
以下が有名な出だしです。
Dormi sepolto in un campo di grano 麦畑に埋まって眠れ。
Non ?? la rosa non ?? il tulipano バラでもなくチュリーップでもなく、
che ti fan veglia dall'ombra dei fossi 堀の影から君を見守るのは
ma sono mille papaveri rossi 千もの赤い芥子の花。
すごく悲しい話なのですが、思い起こさせる情景はとても美しいですね。ちなみにこれと全く同じ歌詞でこの歌は締めくくられます。歌全体を読み(聞き)終えるとこの歌詞がまた一段と深い意味を帯びることになります。
あまり語ってしまうと余計な先入観を与えてしまうかもしれないので、資料室係のおしゃべりはここまでにします。皆さん実際にCDを手にとってデアンドレの歌詞のすばらしさを体感してみてください。
資料室係 k
日本イタリア京都会館
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