長い夏休みをいただいていました。
長々とお待たせしまして(ん?待っていない?)申し訳ありませんでした。
ということで早速行きましょう。久々の今週の一曲は、、、、
フランチェスコ・デ・グレゴーリ、『昨日のお話(storie di ieri)』(1975)です。
デ・グレゴーリは先日紹介したファブリツィオ・デ・アンドレとともにイタリアフォーク界を代表する歌い手であります。彼らは互いに親交があり、共作でアルバムを発表したりもしました。
そしてこの『昨日のお話』はデ・グレゴーリが作詞・作曲し、デ・アンドレが歌った曲でもあります。この曲は『ピエロの戦争』とは違い明るい曲調ですが、その裏には深いメッセージが込められています。政治色を出しながらおとぎ話のような色合いも持っている『昨日のお話』は非常に味わい深い歌です。
主人公はmio padre(お父さん)とil bambino(子供)です。第二次大戦(昨日のお話)を生きたお父さんは現代に生きる危険(ネオファシズム)に気付きません。一方子供は段々とそれに気付いて行きます。
Ma mio padre 醇Q un ragazzo tranquillo 僕のお父さんはおちついた少年。
La mattina legge molti giornali 朝は新聞を沢山読んで
E convinto di avere delle id醇Pe 思想を持っていると確信している。
E suo figlio 醇Q una nave pirata そして彼の息子は海賊船
E suo figlio 醇Q una nave pirata そして彼の息子は海賊船だ。
E anche adesso 醇Q rimasta una scritta nera そして今も残っている黒い落書き
Sopra il muro davanti a casa mia 僕の家のすぐ前の壁にある。
Dice che il Movimento vincer醇A 「運動が勝利する!」と書かれている。
E i nuovi capi hanno le faccie serene 新しいリーダー達はすました顔をして
E le cravatte intonate alla camicia ワイシャツにしっかりとネクタイを締めてる。
比喩がふんだんに使われているので、分りにくいところも多いですね。
1975年、この曲が発売された当時のイタリア社会状況をふまえている必要があります。下から3行目の「運動」とはイタリア社会運動というムッソリーニの支持者が戦後に建てた政党のことを指しています。『昨日のお話』は昨日の話ではないのです。
??何を言っているか分らない!詩の内容もよくわからない!という方は、この曲を聴きながらイタリア政治史を勉強してみてはどうでしょうか。素敵な詩を味わいながら、イタリア語の勉強をしつつ、イタリアの政治についても詳しくなる、、、一挙何得にもなりますね。
今日は少し長くなりました。この曲はRimmelというアルバムに入っています。資料室にもあるので是非借りて聴いてみてください。
資料室係・K