池波正太郎とイタリア

イメージ 1

鬼平犯科帳』の作者とイタリアの取り合わせ。
一見、異質な取り合わせですが、欧州旅行の際に
立ち寄ったヴェネツイアがよほど印象に残ったのか、
随筆として残されています。

「私が泊まったホテルは『モナコ&グランド・カナル』というので、
外のテラスが船着き場になってい、ゴンドラや大小の船の出入りが
絶えない。(中略)
七時頃になって、ようやく、夕闇が濃くなり、大運河の上空に白い月
が浮き上がった。
ベッドへ入ると、運河の波がひたひたと打ち寄せる音が聞こえる。」
(『ル・パスタン』文春文庫より)


古くからの歴史が残る、「人間サイズ」の町を愛した池波正太郎
氏の愛した東京の下町・深川の面影をヴェネツイアに見つけ出し、
一方で中世のたたずまいが残る彼の国と、一方でそれを破壊した
自らの国に惜情を感じられたのでしょう。


                               日本イタリア京都会館
                        http://www.italia.on.arena.ne.jp/