~東日本震災被災者支援のためのチャリティ・セミナー 第4回~
期待も込めて、しばしば「戦争」と重ねて語られる。一方、西洋文学において戦争
と強いアナロジーが働く災厄と言えば、ペスト禍である。
イタリア近代小説の最高峰、マンゾーニの歴史小説『いいなづけ』(初版1825-27,
決定版1840-42)も、老若男女、身分の区別なく、あらゆる人々を巻き込んだ災厄
(戦争、飢饉、ペスト禍)を主題として描いており、ボッカッチョ、デフォー、カミュら
の作品とともに「ペスト文学の系譜」に連なる。
本セミナーでは、17世紀のイタリアを襲った大災害を、物語と連関させつつ、それ
自体「記憶に値する」出来事として詳述したマンゾーニの試みについて考えてみた
い。
リバモンティ「1630年のペスト」